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ヒトラーの建築家アルベルトシュペーア

アルベルト・シュペーア。
ドキュメンタリー映画「ヒトラーの建築家アルベルトシュペーア」を見た。
昨年メキシコへ遺跡の旅に行ったが、遺跡になるような建築を創る、それは、まさしく建築家のはてしない夢だと思う。今の現実ではなかなか難しい夢だが、しかしこんな私でさえも小さな夢くらいはある。
昨年、私がメキシコの遺跡を見て当時の世界に思いをはせたように、後世のひとたちが今の私たちの時代が遺跡となった過去の建築を見て思いをはせる日がいつかくる。
未来の彼らがイメージする中に、私は、そこに関わった歴史の歯車の一人として、存在していたい。
シュペーアも、きっとそんな歴史のロマンを夢見た人だったに違いない。
シュペーアは古典様式を得意とする建築家だった。
推測だが、スポットライトの光を建築化した最初の建築家ではないだろうか?
空中にあがる白い光が天にも届くかのような神殿の柱と化して見える。
彼のデザインした建築は現実に歴史の舞台となりヒトラーの神格化に一役買うことになる。
ただの建築家だった彼が、そのデザインがヒトラーのお気に入りとなり、大臣の暗殺事件により、その身代わりとして偶然軍需大臣に任命されてしまい、政治家デビューしてしまうあたりから複雑な人生に巻き込まれていく。ヒトラーに可愛がられ、側近として、ヒトラー暗殺の計画者、そして、ナチスの戦争犯罪を唯一認めた戦犯へと変わっていく。かなり複雑な人生を歩んだ建築家です。
歴史ドキュメンタリーの筈が、非現実的な空想世界感さえ感じるストーリー展開です。しかし映画途中に流される、当時のユダヤ人たちの処刑された多くのやせ細った死体が流れると、急に現実感が増してくる。
ニュルンベルク国際裁判でヒトラーの罪を認め供述しながらも、
「ヒトラーに友人という存在がいたならば、私が彼の友人です」そう答えるシュペーアのシーンがやけに印象的だった。ヒトラーは悪魔ではなく、人であり、人としてのヒトラーはまぎれもなく、シュペーアと夢を同じにした建築を介した友人だった。 
ナチスの犯した犯罪を嫌いながらも、自分のロマンを実現化する恵まれた環境を手放せなかったのだろう。
建築家である前に人間であることを忘れてはいけない。そんな教訓を感じた。
時々、映画で出てきた家庭人の一面のシュペーアは面白いと思った。なぜその幸せを大切にできなかったのか?残念だが、もしそうなら、映画にもならなかっただろうし。複雑である。

     ・(アルベルト・シュペーア - Wikipedia)より抜粋
廃墟価値理論
ヒトラーが熱烈に支持したこの理論によれば、今後新築されるすべての建築は、数千年先の未来において美学的に優れた廃墟となるよう建築されるべきだということであった。古代ギリシア・古代ローマの廃墟がその文明の偉大さを現代に伝えているように、ナチスドイツが残す廃墟は第三帝国の偉大さを未来にまで伝えるべきものであった。この理論から、鉄骨や鉄筋コンクリートによる建築よりも、記念碑的な石造建築が多く生み出されることとなった。
by sogatoru | 2009-09-08 13:51 | 建築まめ知識
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